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マラソン直前の練習、減らすのが正解?科学的根拠から考えるテーパリング2026/11/01

マラソン前の調整。科学的に分かるテーパリングの考え方

皆さん、こんにちは!
もりなが鍼灸整骨院 RunTreeの森長です。

11月に入り、いよいよ秋冬のマラソンシーズンが本格化してきました!

本命レースが近づくと、こんな不安を感じることはありませんか?

レース前のこんな疑問

✓ 直前までしっかり走った方が良い?
✓ 練習量を減らすと走力が落ちそう…
✓ 疲労抜きは何日前から始める?
✓ ポイント練習はどうする?

今回は、スポーツ科学の研究を参考に、マラソン前の「テーパリング」について解説していきます。

テーパリングは、単なる休養ではありません。
これまで積み重ねた走力を、レース当日に発揮するための調整です。

01|テーパリングとは?

テーパリングとは、大会前にトレーニング量を計画的に減らし、蓄積した疲労を軽減させながら、獲得した身体能力を維持する調整方法です。

日々のトレーニングでは、持久力や筋力などが向上する一方、身体には疲労も蓄積していきます。

どれだけトレーニングを積み重ねても、疲労が強く残っていれば、その能力を十分に発揮できない可能性があります。

テーパリングによって疲労が軽減し、パフォーマンスを発揮しやすくなる仕組み
図:フィットネスと疲労の関係を表した概念モデル

トレーニングで獲得した能力をできるだけ維持しながら、蓄積した疲労を軽減させる。

そうすることで、レース当日に本来の力を発揮しやすい状態を目指します。

02|科学的研究ではどうなの?

2023年に発表されたWangらの研究では、持久系アスリートを対象とした14研究、計174人のデータを統合し、テーパリングの効果を分析しています。

その結果、タイムトライアルの成績や、疲労困憊まで運動を継続できる時間に有意な改善が認められました。

研究から見えてきた調整のポイント

期間: 21日以内。特に約8〜14日が有効だった分析も
練習量: 通常より約41〜60%削減
練習強度: 基本的に維持
練習頻度: 基本的に維持

ポイントは、走るスピードを大きく落とすのではなく、走る距離や時間を減らすこと。

ただし、これは研究から導かれた一般的な傾向であり、すべてのランナーに同じ方法が最適とは限りません。

2週間?それとも3週間?

2007年のBosquetらのメタ分析では、約2週間のテーパリングが有効とされています。

一方、約15.8万人のマラソンランナーのデータを分析した観察研究では、3週間の計画的なテーパリングが良好な成績と関連していました。

これらは必ずしも矛盾する結果ではありません。

研究対象や練習内容が異なるうえ、観察研究ではテーパリングが成績向上の直接的な原因だったと断定することはできません。

大切なのは、期間だけにこだわらず、普段の練習量や疲労状態に応じて調整することです。

03|身体の中では何が起きる?

では、練習量を減らすことで、身体の内部にはどのような変化が起こるのでしょうか?

筋グリコーゲンの回復、筋損傷からの回復、神経筋機能の回復、有酸素能力の維持

① 筋グリコーゲンの回復

筋グリコーゲンは、筋肉に蓄えられている糖質由来のエネルギー源です。

練習量を減らし、十分な炭水化物を摂取することで、エネルギーの貯蔵量を回復させやすくなります。

② 筋損傷からの回復

ロング走や高強度トレーニングでは、筋肉に繰り返し負荷がかかります。

負荷を減らすことで、筋組織の修復や筋収縮機能の回復が進むと考えられます。

③ 神経筋機能の回復

疲労は筋肉だけでなく、筋肉が力を発揮する神経筋系にも影響します。

適切な調整によって、筋力やパワーが改善する場合があります。

④ 有酸素能力の維持

興味深いことに、2023年のメタ分析では、テーパリング後にタイムトライアル成績が改善した一方、VO2max(最大酸素摂取量)の有意な改善は確認されませんでした。

つまり、新しい能力を大きく獲得しなくても、疲労を軽減することでパフォーマンスが改善する可能性があるのです。

ここがポイント!

テーパリングは「休めば自動的に強くなる」というものではありません。これまで培った能力を、発揮しやすい状態に整えるための方法です。

04|市民ランナーの実践方法

では、実際にはどのように練習を調整すれば良いのでしょうか?

テーパリングの期間、練習量、強度、頻度と2週間の調整例
図:研究から得られた一般的な指針と、週間60kmのランナーの調整例

例えば、普段1週間に60km走るランナーが、2週間のテーパリングを行う場合を考えてみましょう。

週間60kmランナーの調整例

通常週:60km

レース2週前:約45km

レース前の最終7日間:
約25〜35km(大会本番を除く)

これは段階的に練習量を減らす実践例であり、研究で直接検証された唯一の正解ではありません。

また、研究で示された「41〜60%削減」は、通常の練習量からの削減率を指します。例えば通常60kmであれば、41〜60%削減した練習量は約24〜35kmとなります。

ポイント練習はどうする?

例えば、普段1kmのインターバルを6本行っている方なら、3〜4本に減らすといった方法が考えられます。

設定ペースを大きく落とすのではなく、本数や疾走距離を減らして、必要な刺激を残します。

ただし、疲労が強い場合や痛みがある場合には、無理に練習頻度や強度を維持する必要はありません。

05|森長のワンポイントアドバイス

マラソンが近づくと、どうしても不安になるものです。

「もう少し距離を踏んでおこう」
「最後にもう一本、速い練習をしておこう」

そんな気持ちになる方も多いのではないでしょうか?

しかし、レース直前の数日間で新たな走力を大きく獲得することは難しく、無理なトレーニングは疲労を残す原因にもなります。

「練習で強くなる期間」と
「獲得した能力を発揮するために整える期間」
を分けて考えましょう。

これまで何週間、何か月もかけて積み重ねてきたトレーニングがあります。

レース直前は、その積み重ねを信じることも大切です。

睡眠、食事、疲労状態、身体の違和感にも目を向けながら、レース当日を迎えましょう!

テーパリングは、最高のパフォーマンスを発揮するための、最後のトレーニング戦略です。

皆さんが本命レースで納得のいく走りができることを願っています!

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※研究結果は集団の平均的な傾向であり、すべてのランナーに同じ効果を保証するものではありません。掲載した図解には理解を助けるための概念モデルや実践例を含みます。

もりなが鍼灸整骨院 RunTree

ランニング障害のケア・コンディショニング・ランニング指導
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