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GUIDE BOOK No.03

ケガ・痛み

足底筋膜炎

足底腱膜症・足底踵部痛

朝起きて最初の一歩が痛い。走り始めや長時間の立位で、かかとの内側が痛む。
足裏だけでなく、練習負荷と身体全体の使い方から考えます。

読了時間 約12分難易度 Beginner最終更新 2026.07.16

WHAT YOU WILL LEARN

この記事で分かること

✓ 足底筋膜炎の代表的な症状と痛む場所

✓ ランナーに起こりやすい負荷と身体側の要因

✓ 最新ガイドライン・研究から見た対処方法

✓ 似た症状を起こす別の疾患と受診の目安

✓ RunTreeで確認することとランニング復帰の流れ

WHERE DOES IT HURT?

痛みが出やすい場所

かかとの内側から足裏へ

代表的には、足底腱膜が付着するかかとの内側に痛みが出ます。 土踏まず方向まで痛みや張りを感じる方もいます。

※痛む位置や範囲には個人差があります。イラストだけで診断することはできません。

COMMON SYMPTOMS

このような症状はありませんか?

足底筋膜炎では、休んだ後の最初の数歩で痛みが強く、 少し動くと軽くなる一方、長時間の立位や運動後に再び痛むことがあります。

✓ 朝起きて最初の一歩で、かかとの内側が痛む

✓ 長く座った後、立ち上がると足裏が痛む

✓ 走り始めに痛み、温まると一時的に軽くなる

✓ 長い距離を走った後や翌朝に痛みが強くなる

✓ かかとの内側を押すと限局した痛みがある

WHY IT HAPPENS

なぜ足底筋膜炎が起こるのか

足底筋膜炎は、一つの筋肉や一回の衝撃だけで起こるとは限りません。 足裏へ繰り返し加わる負荷と、その負荷を受け止める身体の許容量とのバランスが重要です。

走行量・強度の急な増加

距離、頻度、スピード、坂道などを短期間に増やすと、足底腱膜が負荷へ適応する前に症状が出ることがあります。

足関節の動きと下腿の状態

足首の背屈が小さい、ふくらはぎが緊張しているなど、身体が前へ進む動きが制限されると足裏へ負担が集中する場合があります。

足部の構造と荷重の偏り

アーチの高さだけで原因を断定はできませんが、荷重移動や足部の安定性が足底腱膜への負担に関係することがあります。

接地と片脚支持

ランニングは片脚支持の連続です。接地位置、接地時間、骨盤や股関節の安定性も足裏の負担へ影響します。

体重・長時間の立位

体重の増加や立ち仕事など、足裏へ荷重が加わる時間が長いことも関連要因として報告されています。

シューズ・路面・回復不足

シューズや路面の変化、睡眠不足、連日の高負荷などが重なり、足部の回復が追いつかなくなる場合があります。

RUNTREE POINT

足裏の痛みを、足裏だけの問題にしない

足底筋膜炎では、痛む場所への施術だけで一時的に軽くなっても、 練習の戻し方や身体の使い方が変わらなければ再発することがあります。 RunTreeでは、足部・足関節だけでなく、片脚支持、股関節、フォーム、練習内容まで確認します。

RESEARCH & EVIDENCE

最新研究から分かっていること

現在の研究では、単独の治療だけでなく、教育、負荷調整、ストレッチ、テーピング、 運動療法などを症状に応じて組み合わせる考え方が重視されています。

CLINICAL PRACTICE GUIDELINE2023年改訂

ストレッチだけでなく、個別評価に基づく複合的な対応

2023年の臨床実践ガイドラインでは、足底腱膜とふくらはぎのストレッチ、 テーピング、徒手療法、足部・足関節の抵抗運動などが推奨されています。 足底板や夜間装具は、症状や必要性に応じて他の対応と組み合わせます。

RUNNER'S TAKEAWAY

「硬いから伸ばす」だけではなく、現在の痛み、足首の動き、足部の機能、 ランニング負荷を整理したうえで対処方法を選ぶことが重要です。

BEST PRACTICE GUIDE2021年

教育・テーピング・ストレッチを中核にした段階的な管理

システマティックレビュー、専門家の臨床推論、患者の価値観を統合したガイドでは、 教育、足底腱膜ストレッチ、テーピングを初期の中核として提示しています。 改善が不十分な場合は、衝撃波治療や足底板などを段階的に検討します。

RUNNER'S TAKEAWAY

最初から特殊な治療へ進むのではなく、負荷の理解と基本的な運動療法を土台にし、 経過を確認しながら次の手段を選ぶ考え方です。

RANDOMIZED CONTROLLED TRIAL2015年

高負荷筋力トレーニングは、短期的な改善を早める可能性

足底腱膜炎患者を対象にした比較試験では、足趾を反らせた状態で行う 段階的なヒールレイズが、足底腱膜ストレッチのみより3か月時点の自己評価を改善しました。 ただし、12か月時点では明確な群間差はありませんでした。

RUNNER'S TAKEAWAY

足底筋膜炎は「休むだけ」ではなく、症状に応じて組織へ段階的に負荷を与える考え方も重要です。 痛みを無視して自己流で強度を上げることとは異なります。

PROSPECTIVE COHORT2024年

ランナーでは走行距離と足部の動きが関連する可能性

前向き研究では、週40kmを超えて走る群は週6〜20kmの群より足底筋膜炎を発症するオッズが高く、 接地中の足部外反角度との関連も報告されました。 ただし、一つの研究だけで個人の原因を断定することはできません。

RUNNER'S TAKEAWAY

月間走行距離そのものが悪いのではなく、現在の身体がその負荷へ適応できているか、 増やし方や回復とのバランスを見る必要があります。

研究結果を読むときの注意点

研究で関連が報告された特徴が、そのまま全員の原因になるとは限りません。 RunTreeでは、研究を判断材料の一つとして活用し、 実際の身体、練習内容、仕事や生活、症状の経過と照らし合わせます。

RED FLAGS

似た症状を起こす別の疾患

かかとや足裏の痛みが、すべて足底筋膜炎とは限りません。 痛みの性質や発症経過により、医療機関での評価が必要になります。

踵骨の疲労骨折

荷重時痛が強く、かかとを両側から圧迫して痛む場合があります。走行距離の急増後は特に注意します。

踵部脂肪体の障害

かかとの中央に打撲のような痛みがあり、硬い床や裸足で悪化しやすいことがあります。

足根管症候群・神経症状

足裏のしびれ、灼熱感、電気が走るような痛みがある場合は神経の関与も考えます。

アキレス腱付着部障害

痛みがかかとの後方に集中する場合は、足底腱膜ではなくアキレス腱付着部の問題も確認します。

医療機関への相談を優先したい目安:
安静にしていても強く痛む、夜間痛がある、急な腫れ・熱感がある、 しびれや筋力低下を伴う、体重をかけられない、外傷後から強く痛む、 数週間負荷を調整しても改善しない場合。

RUNTREE ASSESSMENT

RunTreeで確認すること

足裏だけを触って終わらせず、なぜ足底腱膜へ負担が集中したのかを整理します。

症状と負荷の履歴

発症時期、朝の痛み、走行距離、練習強度、坂道、路面、シューズ、仕事で立つ時間を確認します。

足関節の可動性

膝を伸ばした状態・曲げた状態の両方で、足首がどの程度動くかを確認します。

足部の荷重と足趾機能

足裏の荷重移動、母趾の動き、足趾で支える力、アーチの変化を見ます。

下腿・股関節の筋力

ふくらはぎだけでなく、片脚で身体を支えるための股関節や体幹も確認します。

片脚支持と動作

片脚立位、スクワット、カーフレイズなどで、骨盤から足部までの連動を確認します。

ランニングフォーム

接地位置、接地時間、身体のブレ、足部の動きなどを確認します。

CLINICAL PERSPECTIVE

RunTree 森長の臨床視点

足底筋膜炎は、痛みが軽くなってからの戻し方が重要です。

足底筋膜炎の方は、「走ると痛いから休む」「軽くなったら元の距離へ戻す」を繰り返していることが少なくありません。 休養で症状が落ち着いても、足裏が負荷へ耐えられる状態まで回復していなければ、再び痛みが出ます。

RunTreeでは、痛みの程度だけでなく、朝の一歩目や翌朝の反応を確認しながら、 足部・ふくらはぎ・股関節へ必要な刺激を入れ、距離と強度を段階的に戻します。 「休むか、走るか」の二択ではなく、今の身体で何ができるかを一緒に整理します。

RunTree院長 森長孝太

RETURN TO RUNNING

改善からランニング復帰まで

痛みをゼロにすることだけを目標にせず、走った後と翌朝の反応を確認しながら、 足裏が受け止められる負荷を少しずつ増やします。

1

痛みを増やす負荷を整理する

距離、速度、坂道、連続して走る日数などを調整し、症状を悪化させない範囲を見つけます。

2

足部と下肢の許容量を高める

ストレッチだけに偏らず、足趾、ふくらはぎ、股関節などへ段階的な筋力トレーニングを行います。

3

距離・時間・強度を一つずつ戻す

複数の要素を同時に増やさず、当日夜と翌朝の反応を確認して次の負荷を決めます。

SELF CHECK

相談前に整理しておきたいこと

次の内容を確認しておくと、症状と負荷の関係を整理しやすくなります。 痛みを確かめるために無理に走る必要はありません。

✓ 痛む場所は、かかとの内側・中央・土踏まずのどこか

✓ 朝の一歩目、走り始め、運動後、翌朝のどこで最も痛むか

✓ 最近、距離・頻度・速度・坂道を増やしたか

✓ シューズ、路面、仕事で立つ時間に変化があったか

✓ しびれ、腫れ、安静時痛、夜間痛を伴っていないか

CONSULTATION

足裏の痛みを繰り返している方へ

症状や練習内容を確認し、施術だけでなく、 ランニングへ戻るまでの進め方を一緒に整理します。

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REFERENCES

参考文献

  1. Koc TA Jr, et al. Heel Pain–Plantar Fasciitis: Revision 2023. J Orthop Sports Phys Ther. 2023;53(12):CPG1-CPG39. DOI
  2. Morrissey D, et al. Management of plantar heel pain: a best practice guide informed by a systematic review, expert clinical reasoning and patient values. Br J Sports Med. 2021;55:1106-1118. PubMed
  3. Rathleff MS, et al. High-load strength training improves outcome in patients with plantar fasciitis: a randomized controlled trial with 12-month follow-up. Scand J Med Sci Sports. 2015;25(3):e292-e300. PubMed
  4. Hamstra-Wright KL, et al. Risk Factors for Plantar Fasciitis in Physically Active Individuals: A Systematic Review and Meta-analysis. Sports Health. 2021;13(3):296-303. Full text
  5. Plesek J, et al. Running Distance and Biomechanical Risk Factors for Plantar Fasciitis: A Prospective Study of 1,206 Participants. Med Sci Sports Exerc. 2024. PubMed

※本ページは一般的な情報提供を目的とし、診断を行うものではありません。
※研究内容は公開時点の情報です。新しい研究やガイドラインに応じて更新します。

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